研究の概要 開発の狙い 研究開発課題 宇宙実証 スケジュール

2.ロボットハンド開発の狙い

(1)宇宙用ロボットハンドの必要性

 国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」の打ち上げにより我が国も本格的な有人宇宙活動の時代を迎えますが、有人宇宙活動の安全性と経済性確保のために、宇宙飛行士の作業を支援・代行するロボット「有人宇宙活動支援ロボット」の開発が期待されています。

 現在までに実用化されている宇宙ロボット(国際宇宙ステーション日本実験棟のロボットアーム等)は長さが10m以上あり、宇宙ステーション取り付けモジュール等の大型物体のハンドリングに使用されますが、これらのロボットアームで操作される大型の機器等は直径約60cmもある取っ手(Grapple Fixture)を取り付けておく必要があり、そのため、宇宙飛行士が使用する小型の工具等を把持操作することは出来ません。

「有人宇宙活動支援ロボット」には宇宙飛行士と同様に、各種の機器や工具類が把持操作できる精細作業能力が必要です。




(2)地上用ロボットへの応用

 現在、各種の産業用ロボットや人型ロボットであるヒューマノイドが開発されていますが、これらのロボットハンドは単純な動作しか出来ず、器用さは有していません。
また、ヒューマノイドのハンドは形こそ人の手に似ていても握力が弱いため、軽い物しか持てないのが一般的です。

 ロボットが今後、介護等、多様な場面で用いられるようになるにはある程度の重さの物が持てて操作できる握力と器用さが不可欠です。また、作業内容に応じて、ハンドが交換可能であればロボットはより使いやすいものとなります。

危険な作業、重労働、人手不足な作業をロボットが代替



(3)高出力精細ロボットハンドの目標仕様

 上記背景から、本研究では、以下のようなロボットハンドの開発を目指しています。

(a) 作業内容に応じて手首部分から取り外し交換可能なこと。

本要求の実現には、ロボットハンドの駆動制御に必要なアクチュエータや駆動制御回路をハンドの内部に内臓している必要がある。しかしながら、現在までに開発されているロボットハンドはアクチュエータを内臓している場合は握力が弱く、強い握力を有している場合は、強力なアクチュエータをロボットアームやロボットの胴体内に内臓しているため、作業内容に応じてロボットハンドを交換することが出来ないのが一般的です。

(b)船外活動する宇宙飛行士並みの握力と器用さを有すること。

船外活動中の宇宙飛行士は宇宙服の手袋をしているため、握力、器用さは素手の状態ほどではありませんが、ある程度の握力と器用さを有しています。人の素手が持つ器用さと握力の実現は今後の課題として、本研究では、船外活動する宇宙飛行士の作業の支援・代行が出来ることを当面の目標として、本研究で開発するロボットハンドの目標仕様を以下のように設定しました。
ロボットハンドの目標仕様
*ハンドの大きさは宇宙服の手袋と同等の大きさ。
*平均的な大人と同等の握力を有する。
*宇宙飛行士が使用する工具(Pistol Grip Tool 等)を把持・操作できる。
*作業内容に応じて手首部分から脱着・交換可能。
Pistol Grip Tool を操作する宇宙飛行士(c)NASA