M.Odaの個人的ETS-VIIプロジェクト日誌

本日誌は,ETS-VIIの実験運用に関して日々起きた事を備忘録的に記したものです。なお、本ページに記載された内容は小田の個人的見解ですので悪しからず。コメント、激励、苦言は M.Odaまで。

(注)ETS-VIIの実験運用は1999年末で終了し、その後の残務整理(成果のとりまとめ等)も含めて2000年6月頃までにはETS-VII関連の業務は終了しました。よって本プロジェクト日誌も2000年6月をもって終了しました。ご愛読ありがとうございました。

(since July 14, 1998)

ETS-VIIホームページ M.Oda's self introduction 外部発表論文リスト

(2002/10/31) ETS-VII(おりひめ・ひこぼし)は打ち上げ(1997/11/28)から約5年間の運用の後、2002年10月30日午後3時56分に衛星からの送信を停止する指令が送られ、ETS-VIIの運用を終了しました。最終運用の様子はこちら
ETS-VIIの当初の実験運用予定期間は打ち上げから1年半でしたが、2年間に延長して、数多くのロボット実験、ランデブ・ドッキング実験を行いました。
これらの実験成果は、宇宙ステーションに補給物資を輸送する宇宙ステーション補給機(HTV)や、宇宙ステーション日本実験モジュール用ロボットアーム(JEMRMS)の開発に活かされています。
ETS-VIIの実験運用の成果の詳細はこちら(定常段階分)、及びこちら(後期利用段階分)でご覧になれます。

(2002/6/18) ETS-VIIは、衛星の姿勢制御系機器の不具合により、衛星の姿勢安定が出来ず、衛星はゆっくりした回転状態となっています。そのため衛星に電力を供給している太陽電池面を太陽方向に指向させることができないため、衛星との交信も断続的なものとなっています。くわしくはこちら 

6/8: 先月11日以降、ETS-VIIは三軸姿勢安定ができない状態が続いていましたが、本日夜に三軸姿勢捕捉を行うことに成功しました。

5/18:1月末に発生したハッカーによる中央省庁他のホームページへの侵入・改ざん事件の余波で、本ホームページも1月末より閉鎖されていましたが、本日以降、日中に限って再開されました。この間のETS-7関連の主要な出来事は以下の通り。
 *衛星の三軸姿勢安定の喪失(ゆっくりしたスピン状態に移行):5月11日(詳細はこちら
 *ETS-VII成果報告会(東京フォーラム)の開催: 3月14日

1/17〜21:ETS-VII成果報告会は3月14日(火)に東京国際フォーラム ホールD(一番浜松町よりのブロックの最上階(7階))で開催することとした。

1/5:ETS-VIIプロジェクトチームの大半のメンバに新しい部署への移動辞令の発令。(ETS-VIIプロジェクト在籍者の移動先はこちら

12/20〜24:ETS-VIIプロジェクトは実質的に年内いっぱい(形式的には年度内は存続)のため、大量のドキュメントの保存/廃棄の識別/移動の力仕事を手分けして実施(12/20〜22)。

12/18:宇宙作家クラブ宇宙先端活動研究会他主催の「日本独自の有人宇宙飛行を目指して」なる会合に呼ばれて「宇宙ロボット」について講演。個人的には「ロボットは仕事をしてなんぼのもので、人間のためにあり、人間とロボット共存するもの」と考えています。宇宙ではとかく「有人か無人か」の議論が行われますが、あまり意味のない議論だと思っています。人間に出来ないこと/危険等の理由で止めた方がいい仕事で、ロボットにできることはロボットにやらせればいいのです。”日本独自”にどの程度こだわるかは科学技術の研究・開発政策/戦略上の問題で、キャッチアップ型の研究・開発をしている間は意識することはあまりないかも知れませんが、科学技術を戦略的に研究開発していく上では無視できない問題です。科学技術の開発戦略は個人的には非常に興味のある課題で来年度の某大学との連携大学院講座での実質的なテーマとして暖めています。(12/24記)

12/17:データ中継衛星(TDRS)を使用して行うETS-VII最後の実験運用を12月15〜16日に実施。15日は通信系を主体とした衛星システムの機能性能確認を実施。16日にはランデブドッキング系の機能性能確認を実施し、2年以上に渡るETS-VIIの実験運用を無事に終了した。(作業の様子はこちら
また、12月15日には、ETS-VIIプロジェクトチームのメンバの大半に、次の勤務部署への移動の内示が出された。プロジェクトはある特定の目的のために臨時に組織され運営されるものであるため、始めがあれば、終わりが必ずある。プロジェクトに携わった皆が、ETS-VIIの開発、運用、実験で培った知識経験を次の業務に活かしてくれることを切に期待する。ETS-VIIは1990年の構想提案から10年目でミッションを完了(成果のまとめ等の作業は残っているものの)した。他の衛星プロジェクトに比べると短期間であるが、やはり長い10年間で、その間に蓄積されたものも大きいことを実感する。
なお、ETS-VIIホームページ自体は、広報機能に加えて、あるいはそれ以上にデータベースとしての優れた役割があるため、引き続き維持します。特にリンクの切れているところや、データが古いものは適宜修正を加えて行きます。

12/6〜12/10:
(12/10)後期利用段階のETS-VIIを使用した共同ロボット実験の公募に基づきETS-VIでIロボット実験を行った東北大学の実験成果の中間報告会を東北大学で開催。計測自動制御学会東北支部他との共同開催でもあり、多くの学生、研究者が集まった。
(12/8)ETS-VIIの後期利用段階の実験運用成果を宇宙開発委員会に報告。詳細はこちら。なお、当日の宇宙開発委員会の議論、及び傍聴者の関心はもっぱら、H-II8号機の事故に伴う今後の宇宙開発計画の変更の方に。夜のラジオ/TV、翌日の新聞はどれもH-IIロケット7号機の取り止めとH-IIAの1年延期のみを報道。成果をあげてもどの報道機関も取り上げないのは寂しいし、どうかと思う。

11/30〜12/3:30日にETS-VIIの軌道制御を実施し、近地点高度を537.5kmまで上げた。これで後,1年位軌道制御をしなくても大丈夫のはず。1年後の近地点高度の予測は約520km。
軌道制御後のETS-VIIは12/16までロールバイアス運用を行い、12/17に最後の実験運用(システム性能評価)を行い、2年強の実験運用を終了する予定。なお、その後もETS-VIIは搭載機器の長期間のトレンドデータの取得等を目的としたHK運用が継続される。

11/29:本日、NASDAのロボット実験として、衛星の姿勢制御系搭載ソフトウエアを修正し、制御ロジックを各種に変化させた場合の衛星の姿勢変動について評価。その後、衛星表面の撮像、及び地表面の撮像を行い、最後にロボットアームの収納を行った。本作業をもってETS-VIIのロボット実験はすべて終了。くしくも昨日はETS-VIIの打ち上げの2周年。2年間のETS-VIIの実験運用に携わった皆様ご苦労さまでした。

11/22〜26日:京都大学との共同ロボット実験を22日に(実験の様子),CRL、NALの最終実験を25日,26日に実施。いずれも問題なく,期待された成果を上げて終了しました。(CRL/NAL実験終了後の記念撮影

11/15〜19日:H-II8号機/MTSATの打ち上げ。種子島からの中継のTVで見ていた限りでは成功だと思った直後に指令破壊のアナウンスは衝撃的。気象衛星を始めとした各種の衛星の打ち上げは止める訳にもいかない。各自が持ち場の仕事を粛々を行うのが必要なことか。(11/15)
日本ロボット学会誌と計測自動制御学会誌の11月号はいずれもETS-VIIの特集号。ロボット学会誌はETS-VIIのロボット実験を,計測自動制御学会誌はランデブドッキング実験を特集。ご一読を。(11/17)

11月8〜12日:今後のETS-VIIの実験運用方針/スケジュールの内部調整。520km付近まで下がっているETS-VIIの軌道の上昇制御(11/10,11/30),獅子座流星群への対応(実験休止:11/15〜18),今後のロボット実験(11/25〜26,29),ロールバイアス運用(11/30〜12/16),軌道面外フライアラウンド/RVR性能評価の実施(12/17)等を確認。プロジェクトのゴールも近い。

11月4日(木):小生は東京工業大学で講義(宇宙経済学と称して、宇宙ミッションを企画立案する際に考慮すべき事項、ビジネスプランの作成等についての講義)

11月2日(火):FP6ランデブ実験の成果を宇宙開発委員会に報告(報告内容はこちら

10月27日(水):Rバー接近の後、CAMにより,ターゲットの前方約5kmに退避していたチェイサは早朝より、ゆっくりとターゲットにむけての接近を開始。接近速度はおよそ7m/分程度。ターゲットとの距離がだんだんと近づくのを辛抱強く待つ(13:30JST)。
230m付近から問題のVバー接近を開始。ターゲットの前方から接近する際、減速に伴い生じるコリオリ力をキャンセルするため地心方向(Z)スラスタを間欠的に動作し続けなければならない。いつ,昨年夏と同じ不具合が再発するかと冷や冷やしながらモニタ。幸いにも(?)32m点で一旦停止する少し前の可視時間帯にスラスタ不調の傾向が再発。間髪を入れずに、他のスラスタ(Zスラスタの替わりに他の複数のスラスタを同時に動作させ、合成したスラスト方向が本来のZスラスタと同じ様になる制御)に切り替えた。その後は,スムーズにターゲットに接近し,午後8時43分にドッキング完了。長丁場にならずにホットした。

10月26日(火):午前5時過ぎからの可視帯で,分離のための最終チェックを行った後、チェイサ衛星とターゲット衛星を分離。2m地点から遠隔操縦を開始し,一旦10mまで遠ざかった後、6m付近まで接近し、その後衝突回避マヌーバ(CAM)を実施。この時点で今回の実験飛行の3課題の内,2課題が達成。
小生は,ETS-VIIの遠隔操縦/CAMを見届けた後、経団連ホールで開催されている国際先端ロボット会議のETS-VII特別セッションへ。特別セッションの司会が終わると同時に筑波に引き返す。
ETS-VIIは,夕方にターゲットの後方9kmの地点からのRバー投入/Rバー接近を無事にこなし、今回の実験飛行の3課題を全て達成。これでETS-VIIのRVD実験課題は全て達成されたことになる。とはいうものの,「おりひめ」と「ひこぼし」が離ればなれなのは忍びない。明日,二人の再開を狙う。

10月25日:第3回目のランデブ実験(正確には,接近/離脱飛行技術実験)が明朝からスタート。そのための準備作業(衛星の点検)は昨日からスタート。夕方に実験のGO/NOGO判定会議を開催し、実験を予定通り開始することを決定。

10月18〜22日:神戸国際会議場(ポートアイランド内)で第43回宇宙科学技術連合講演会。
神戸国際会議場は10年前に宇宙用人工知能/ロボット/オートメーション国際シンポジウム(i-SAIRAS'90)を開催し,ETS-VIIのコンセプトを紹介した場所だけに,10年間の様々なことが思い出されて感無量。肝心の講演会ではNASDA,各機関,大学からETS-VII,及び宇宙ロボット関連で34件と盛大な発表。他分野で目立った発表が少ないのが気になる。
今週末からはいよいよFP6ランデブ実験。詳細なタイムラインはこちら(1999/10/22)

10月12〜15日:東北大学(内山研究室)、東京工業大学(松永研究室)との共同ロボット実験は無事に終了。東北大学との共同実験ではハプティックインタフェースを用いた遠隔操作実験を実施。ロボット実験はこの後、11月中旬まで中断。次は再来週の第3回ランデブ実験となる。ロボット実験終了後の13日午後はさっそくランデブ実験運用の訓練(99/10/13)

10月4〜9日:10月1日はNASDAの創立記念日。今年でNASDAは創立30周年。勤続30年の職員30数名の永年勤続表彰。一方今年度の業績表彰でETS-VIIプロジェクトから小田、河野、杢野の3名が受賞。ETS-VIIの開発・運用に携わった多くの方の代表として戴いたと理解しています(10/4)。
通産省の高機能ハンド実験を10月6〜7日に実施。打ち上げから2年近く経過しているにもかかわらず順調に動作している。また(株)東芝との共同ロボット実験として衛星搭載カメラによる各種画像の取得も実施。(10/7)

9月29日:今日実施予定だった東北大学内山研究室のロボット実験は実験準備の都合上、10/13(予定)に延期.9月30日には予定通り東北大学吉田研究室,及び東京工業大学松永研究室のとの共同ロボット実験を実施。

9月15〜24日:DLR,ESAとの共同ロボット実験の成果を確認するとともに今後の宇宙ロボットのR&Dの方向性について意見交換するためDLR,ESTEC他を訪問(M.Oda)。留守部隊は9/29〜30の東北大学,東京工業大学との共同ロボット実験の準備。

9月6日〜10日:週の前半は来週のNAL、CRLのロボット実験のための手順書の検証作業。後半(9/9〜)は東海大学で開催されたロボット学会に出席。一昨年にロボット学会誌に掲載した小生の論文(衛星搭載ロボットアームと衛星姿勢の協調制御−ロボットアーム動作時の衛星の姿勢安定の保証)でロボット学会論文賞を受賞。NASDAでは研究に明け暮れている訳でもないので論文賞など縁が無いと思っていただけに感無量。

8月30〜9月3日:チェイサ衛星に搭載されたロボットアームで浮遊しているターゲット衛星を自動的に捕獲する実験を8月31日〜9月1日にかけて実施。8月31日は主として準備作業。本番は9月1日。1回目の実験(9/1の第2パス)は,ロボットアームからターゲット衛星を放出した後の衛星の姿勢変動が予想よりも大きく、実験の継続は危険と判断して捕獲を中止。2回目の実験はNASAのデータ中継衛星地上局(ホワイトサンズ)の受信設備の不調により中止。3回目のリベンジで捕獲に成功。その後の実験の後処理を含め9月1日は8パスのロングラン運用。衛星は非常にタフだけど運用する要員の方が先にばててしまうことを思い知らされた一日でした。

8月23日〜27日:ETS-VIIの定常段階が終了してから3ケ月ぶりのロボット実験を25日に実施。ロボットアームは何事も無かったかの様に正常に動作している。今日の実験の主目的は来週のターゲット衛星捕獲実験に備え、ロボット制御用プログラムの改良結果の確認等を行うことが中心。ついでながら、最終パスの一部で、SONYのPlaystationのジョイスティックを使用した遠隔操作実験を実施。これは、ロボット実験運用設備に接続した各種の端末からでも衛星搭載ロボットアームが操作できることを確認するための作業の一環として行ったもの。同じくSONYのサブノートパソコン(VIO)からの遠隔制御指令の送信も正常に行えた。SONYから感謝状でも出ないかな?(写真1,写真2)(8月25日)

8月16日〜20日:来週からのロボット実験再開に向けての準備を本格化。8月25日は定常段階終了後の初めてのロボット実験。3ケ月ぶりのロボットアームの動作となるため、軌道上での長期間保管後にどうなっているかのデータが期待される。また、8月31日〜9月1日は、ロボットアームによるターゲット衛星の放出・捕獲実験を予定。なお、ランデブドッキング実験がまだ残っているため、安全第一で、ドッキング機構を少しだけ開き、ターゲット衛星が少しだけ自由に動ける様にし、ドッキング機構の外へは飛んでいかない様にして放出・捕獲実験を行う。(08/19)

8月9日〜13日:NASDAと共同でETS-VII搭載ロボットアームを使用した実験を行う東北大学の学生さん達が実験設備を筑波宇宙センタに持ち込んで、NASDAの設備との接続試験を実施(写真

8月2日〜6日:交替で夏休みをとるため,出勤している人もまばら。今週の小生はひたすら論文の執筆。先週末までに4編の解説記事を,今週は3編の論文を仕上げた。来週中にさらに2編を仕上げる予定。これまでに学会等に発表した論文のリストを久々に更改しました。(こちら

7月26日〜30日:先週実施したランデブドッキング系の試験(RVFS改修後試験)は予定通り終了。今週は機械学会全国大会,計測自動制御学会学術講演会,それに学会誌特集号の原稿執筆,宇宙ロボット研究会と学会・研究会が盛りだくさん。

7月19日〜23日:今週の22〜23日は定常段階終了後の久々のETS-VIIの実験運用。調子の悪いガスジェットスラスタを使用しなくても姿勢制御が行えるかどうかの試験,及びGPS相対航法機能試験を行う。なお、今回はチェイサ衛星とターゲット衛星の分離は行わない。
 また,先週、今週は論文執筆強化週でもある。ロボット学会学術講演会の予稿集原稿,日本ロボット学会誌/計測自動制御学会誌のETS-VII特集号(本年11月号)の原稿等々、締め切りが迫っている原稿が山ほどある。
 一方、ETS-VIIはランデブドッキング実験で計測自動制御学会より技術賞を、また、「衛星搭載ロボットアームと衛星姿勢の協調制御」の論文で小田は日本ロボット学会から論文賞を受賞。授賞式はいずれも各学会の今年の学術講演会での予定。日本機械学会宇宙工学部門賞に続いてのおめでたい話。

7月12日〜17日:ETS-VIIプロジェクトチームの事務室が再度,引っ越し。今度は研究開発棟の1階(これまでの中央追跡管制棟2階に行く際に通過しなければいけなかったセキュリティゲートの手前左側の部屋:これまで特殊資料室だったところ)。セキュリティゲート手前につき,気楽にお立ち寄り下さい。

7月5日〜10日:ETS-VII以降の構想を外部の研究者他と議論する研究会(宇宙ロボット応用システム研究会)を旗揚げ。

6月26日〜7月4日:ランデブドッキング実験の課題として残っている搬送波位相を利用したGPS航法機能の確認を7月末に実施するためにの準備が佳境に入っている。

6月21〜25日:定常段階終了後のETS-VIIロボット実験の進め方についての討議を内部で実施。現時点で応募が来ている共同実験テーマについては9月に実施する方向で準備を開始すると共に、NASDA自身の実験についてもNASDA内の他部門からの実験提案をも含めて今後の実験計画を検討。定常段階終了後は今まで以上に使用可能なリソースが限られているので提案されている個々の実験のプライオリティを充分に検討する必要がある。なお、これらの準備作業を確実に行うため、当初7月中旬に設定していたNASDAのロボット実験ウインドウは8月にまわすこととした。(後期利用段階のスケジュール案(6/24付け)はこちら

6月16日(水):ETS-VIIの定常段階終了を受け、NASDA、及びETS-VIIでロボット実験を行った各機関は、宇宙開発委員会にETS-VIIの実験成果を報告しました。NASDAからの報告内容はこちら

6月7日(月):ETS-VII定常段階終了審査会を実施。ETS-VIIの追跡管制、ランデブドッキング/ロボット実験、TDRS利用スペースネットワーク運用のいずれもが、ほぼ当初の目的を達成したことを確認し、ETS-VIIの定常段階運用を終了することを確認した。なお、ETS-VIIは残っているランデブドッキング実験の課題(遠隔操縦/宇宙ステーションへの接近を模擬したRバー飛行)、及び追加のロボット実験を実施するため、引き続き本年11月までの実験運用を継続することを併せて確認した。
一方、今週の課題は、新人宇宙飛行士へのETS-VIIのランデブドッキング/ロボットに関する教育訓練(6/8)、今後の実験計画/研究戦略の検討・調整、機械学会主催ROBOMEC(6/11〜6/13)での発表/講演準備等である。

5月31日(月)〜6月4日(金):ETS-VIIの実験運用も一段落したことから、本日誌も当分は週刊とします。

今週の主要作業は、今週末(6月4日)に開催される宇宙開発委員会技術評価部会におけるETS-VIIロボット実験成果の報告、及び来週月曜日(6月7日)に開催されるNASDA内部の定常段階終了審査会の準備が中心です。

一方、今週の6月1日から3日までオランダのESTECで宇宙用人工知能・ロボット・オートメーション国際シンポジウムが開催されています。(プログラムはこちら)同シンポジウムはETS-VIIの構想のねっている時期にNASDAが音頭をとって当初日本国内のシンポジウムとして始めたものですが、1990年から国際シンポジウムになり、日本、欧州、米国で隔年で開催されています。同シンポジウムの発起人の一人としてはなんとしても出席したかったところですが、宇宙開発委員会の方がプライオリティが高いのでしょうがありません。

5月27/28日(木/金):両日に渡って、NAL、及びCRLのロボット実験をいずれも正常に実施。これにより、ETS-VIIのロボット実験は全機関(NASDA/MITI/NAL/CRL/ESA/DLR)の予定した全実験を完了したことになる。くしくも5月28日はETS-VIIの打ち上げから1.5年目(ETS-VIIの当初のミッション期間は1.5年間)。いろいろ苦労もあったが、ETS-VIIの開発、運用に携わった皆様ご苦労さまでした。なお、ETS-VIIの運用はまだまだ続くので、引き続きよろしく。

5月26日(水):NASDAと鹿児島大学の連携講座での授業(5/27)をするため鹿児島出張

5月24/25日(月/火):終日,みんなで論文/OHP(来週のi-SAIRAS,6月中旬のROBOMEC,6月下旬のISCOPS)と審査会資料(NASDA外部評価,宇宙開発委員会技術評価部会,定常段階終了審査)の作成。

5月21日(金):週末だがNAL,CRLのロボット実験を実施。来週以降、NASDAの外部評価,宇宙開発委員会技術評価部会での実験成果の報告,定常段階終了審査と続いているため,実験と並行して皆で手分けして資料作成。

5月20日(木):通産省(MITI)の高機能ハンド実験では、NASDAのロボットアームから高機能ハンドを取り外しMITIの小型ロボットアームに付け替える作業を行い、その後,高機能ハンドシステムが引き続き正常に機能することを確認し、今日で通産省の全ての実験を終了。ETS-VIIのロボット実験で残るはNALとCRLの実験。これも明日と来週(27日、28日)の実験で全て終わらせる予定。

5月19日(水):今回の高機能ハンドの一連の実験で一番気を使う実験だった高機能ハンドでターゲット衛星上の部品を把持してチェイサ衛星側に移動/取付し、再度,ターゲット衛星側に戻す作業は無事終了。なお、先週、実施した高機能ハンドとNASDAのロボットアームの結合作業の様子がビデオダイジェストになっています。(こちら

5月18日(火):仕事&日誌復帰。通産省のロボット実験は2週目。今回の実験のハイライトの一つであるターゲット衛星上のコネクタの脱着が無事に行われた。なお、来週のロボット実験(定常段階の最後の実験でもある)は、25日(火)〜27日(木)を予定していたが、25〜26日についてはNASAのTDRS回線の確保が出来なかったため、翌週に繰り越したいところだが、6月1日よりESTEC(オランダ)で宇宙ロボット関係の国際シンポジウム(i-SAIRAS'99)があり、実験関係者は皆、出かけるので、実験は今月の21日(金)、27日(木)、28日(金)に振り替えを予定。

5月12日(水):自宅で静養といいつつ、論文書き。なお、通産との共同実験では高機能ハンドが無事、NASDAのロボットアームの先端に取り付けられた。

5月11日(火):今日からアメリカ出張のはずだったが、体調が思わしくなく(めまい)とりやめ。脳のCTをとってもらったが出血等の異常は特になし。めまいは過労・ストレスが原因でも起きるとのこと。入院するほどのことでもないので自宅で静養。

5月10日(月):先週金曜日の夜に実施したRVD実験時の推進系異常原因調査のための試験では,スラスタバルブを動作させた時の衛星バス電流の変化の測定を行った。明日からは通産省との共同ロボット実験。なお、小生は明日からミシガン州デトロイトで開催されるIEEE Robotics and Automation Society 主催のInternational Conference on Robotics and Automation に出席のため日曜日まで不在です。

5月7日(金):来週/再来週に実施予定の通産省/NASDA共同実験のタスクブリーフィング。今回の実験では、高機能ハンド実験装置のハンド部分をNASDAのロボットアームの先端に取り付け、ターゲット衛星上のタスクパネルの操作を行う。
先日実施したNASDA/DLR共同ロボット実験結果に関するDLRのプレスリリース(DLRホームページ)が出ています。(ドイツ語のみ。また古いバージョンのInternet Explorerでは表示されない?)

5月6日(木):今日は皆,連休疲れを回復するモードで運用中(小生も終日,論文の執筆)。明日は夕方よりRVD実験時のスラスタ動作異常の原因調査のための試験をAOCSモードで実施。

4月28日(水):ETS-VIIプロジェクトチームのかなりの人は代休消化も兼ねて明日からしばらくお休みです。次のイベントはRVD系の実験再開に向けた作業(5月7日予定)です。

4月27日(火):週刊の英文業界紙 ”Space News"の最新号(Vol.10,No.15 April26,1999)の19pにETS-VIIを使用したNASDA/ESA共同ロボット実験の記事がETS-VIIの絵付きで掲載されているが、悲しいことにETS-VIIの絵は概念設計当時に考えられていた形だ。もっとも、ETS-VIIのリーフレットの古いものや、NASDAの広報のページの一部(This is NASDA)にはいまだにその絵が使われているからしょうがないか。とりあえず、Space News社にはCorrectionを要求しておこう。

4月26日(月):5月の連休明けに予定されている通産省との共同実験の実験手順の検証を今日,明日と実施。並行して論文執筆。i-SAIRAS,ICAR等3件を仕上げる。それでもまだ、AIAA,ISCOPSと学会誌の原稿が何件か待っている。,

4月23日(金):火曜日に引き続いてサイエンスチャンネルの撮影。
4月20日付けの"FLORIDA TODAY Space Online”にNASDA/ESA共同ロボット実験の結果が掲載されています(中身はESAのプレスリリースのコピー)。ETS-VIIホームページにもリンクが張られています。こちら。「おりひめ・ひこぼしワールド」もNASDA/DLR共同実験結果について掲載しています。

4月22日(木):NASDA/DLR共同実験の実験結果速報を作成/掲載(非公式なものなので多少辛口)。公式のものは広報から「お知らせ」として午後2時に発表予定。午後は宇宙実験棟で日本航空宇宙学会 宇宙ステーション講演会の司会。(12:40PM)

4月21日(水):NASDA/DLR共同実験は無事終了。実験が正午前に終ると、DLR/IRFの連中は午後には慌ただしく荷造りをして成田のホテルに向かった(明日早朝の飛行機で帰国のため)。ミッション達成の乾杯をする暇もなかったが、Webにはしっかり感謝の言葉を残していった。以下、IRFの日誌からの引用。
We owe a good deal of this success to our Japanese collegues, who did an excellent job preparing this mission and - what is most important - who build an excellent space robot, as all the data we collected impressively confirmed. Besides their "engineering qualifications", the people from NASDA were extremely friendly, helpful and cooperative. At all times during the day and during the missions at night, we got help, support and all informations we needed to improve our mission sequences.
なお、同日誌には彼らのカルチャーショックについても触れている。

4月20日(火):NASDA/DLR共同ロボット実験の2日目。今日は割と淡々と実験が出来た。DLR/IRFの連中も非常に満足な様子。併せて、広報用ビデオの撮影を実施。その内、サイエンスチャンネルで放送されるらしい。

4月19日(月):NASDA/DLR共同ロボット実験の本番初日。最初のパスでNASDA/NASA間の通信回線の状態が不安定で,途中からコマンドが打てなくなり(数分後に復旧)ひやりとさせられたが,その後のパスは順調に予定した実験を全て実施した。DLRはロボットアームが動作した時の衛星のダイナミクスに注目した実験を3日間に渡って実施。一方,IRFはVR(Virtual Reality)による衛星搭載ロボットの遠隔操作の実験を実施。実験の様子はビデオでご覧下さい。(ETS-VIIホームページの英語版のライブビデオのページからリンクしています。)

4月16日(金):DLRの実験手順の検証を昨日から断続的に実施中。(午後10時に終了)
DLR,及び共同研究者のIRF(ドルトムント大学ロボット研究所)がそれぞれ、本共同実験のホームページを立ち上げています。(DLR広報部門のページ,DLR研究部門のページIRFのページ)IRFのページには,本日誌に似た作業日誌もあります。DLRからのプレスリリース(英語版はこちら)も出ています。

4月15日(木):今日はNAL/CRLのロボット実験(午前中)と、DLRの実験準備(午後〜深夜?)のダブルヘッダー。明日のNALの実験は午前2時スタートだから、DLRの作業はそれまでには終わらせとけよ。
今回の共同実験に関するDLR側の専用ホームページが出来ています。ドイツ語ですが、DLR内のいろいろな活動状況へのリンクが張られています。実験中は日本からライブ映像を流して載せるそうです。
昨日のNASDAの実験で、ロボットアームを遠隔操作で動作させている際に衛星の姿勢を協調制御させた場合にどの程度,姿勢安定に効果があるかの実験を行いました。これは,遠隔操作の場合,ロボットの動作は遠隔操作をしているオペレータのみが知っていますが、その場合でも協調制御が正常に機能することを確認するためで、結果は当然の事ながらOKです。私の博士論文がかかっていますから。で、その際にオペレータに任意のロボットアームの動作をやってもらうのですが、無意味にロボットを動かしてもしょうがないので、ロボットアーム先端の手先カメラで地球表面を見ました。オペレータがジョイスティックを操作してカメラの方向を自由に変えました。宇宙からの映像で,地球の見え方がまるでSF映画の様にダイナミックに動くのは多分、ETS-VIIが初めてでしょう。ビデオでお楽しみ下さい。

4月14日(水):朝3時半出社。NASDAのロボット実験でロボットアームのキャリブレーションを実施。先週のNASDA/ESA共同ロボット実験の実施結果に関するESAのプレスリリースがESAのWebに掲載されています。 NASDAからすると今回の共同実験は、沢山あるETS-VIIのロボット実験、さらにはMFD、JEMRMSを含めて沢山あるロボット関係の作業の一部なのかも知れませんが、彼らにとっては宇宙でのロボットの実験はESA創設以来、初めてのこと(これまで何度か計画しては挫折)なので、非常に大きく、詳細に取り上げています。

4月13日(火):DLR、及び共同研究者のドルトムント大学ロボット工学研究所の先発隊9人が午後成田着の飛行機で到着。夕方NASDAに到着後、直ちにインターフェース調整会議に入る。明日からはNASDA/NAL/CRLのロボット実験を早朝より行いつつ、DLRの実験準備を午後から深夜にかけてダブルヘッダーで行う。

4月12日(月):DLR(以前のdie DLR(die Deutche Forschungsanstalt fur Lut- und Ramfahr e.V)の日本語訳はドイツ航空宇宙技術研究所だったが、DARAと統合後のdas Deutsches Zentrum fuer Luft-und Raumfahrt e.V (das DLR)はドイツ航空宇宙センタと訳するのが正しい)の連中の来日は明日になったため論文の執筆、及び今週の実験のタスクレビューなどを実施。DLRとの共同実験計画はこちら

4月9日(金):ESAは実験に使用した器材の撤収作業。一方、NASDAは5月の連休明けに予定されてる通産省との共同実験の準備作業。

4月8日(木):NASDA/ESA共同ロボット実験:今日は目立ったトラブルもなく、お昼前に予定した全ての実験をこなし、共同実験は終了した。日本が主導している国際協力プロジェクトの例は少ないが、本共同実験はNASDAが主導して進めているもので、今後の各種の国際協力事業を進めるためにも得るところは多かった。(実験結果速報はこちら
なお、来週からはDLR(ドイツ航空宇宙センタ)のスタッフが同じく、NASDA/DLR共同ロボット実験(4/19〜4/21に実施予定)のために筑波宇宙センタを訪れる。筑波宇宙センタがさながら、宇宙ロボットの研究センタとなっている。

4月7日(水):NASDA/ESA共同ロボット実験は予定外の事(実験中に日米間の通信回線が一時的に不調になる等)もいくつかあったものの、なんとかしのいで2日目を終了。作業の様子はこちら

4月6日(火):ETS-VIIの開発・実験に携わった主要メンバが日本機械学会から宇宙工学部門賞を受賞しました。(受賞者写真) 小生、賞をもらうのは小学校の時に絵か工作かでもらったのと、NASDAに20年勤続したことでもらった位。少し前に学位を取った時もNASDAからはこれといったものは無かったことから、仕事の中身で表彰されるのは名誉この上もないことです。
一方、今日からのNASDA/ESA共同ロボット実験は、しょっぱなから、NASAのTDRS地上局のミス(地上設備の計算機のソフトウエアを更新したところ動かなくなった)からつまずく。実験ウインドウを組み替えて対応を試みる。

4月5日(月):明日からのNASDA/ESA共同ロボット実験に備え,11日ぶりにロボット系の実験運用。搭載ソフトウエアの転送、及びロボットアームの展開を早朝より行う。ESAの連中も緊張して衛星からの画像、テレメトリデータを見ている。(ESA準備状況の写真

4月2日(金):NASDA/ESA共同ロボット実験の準備は、なんとかESAが持ち込んだ計算機からNASDAのロボット実験運用設備、及び同設備に組み込まれている衛星搭載ロボットシミュレータ(衛星に搭載されているロボット系計算機と同一の計算機で衛星上と同じプログラムが動作している)まで指令が送れる様になった。数日前から準備していたNASDA/ESA共同実験のプレスリリースも各方面と調整を終えて午後2時に広報室から発表。常陽新聞の取材も。

4月1日(木):月曜日からNASDA/ESA共同ロボット実験の準備作業を続けている。作業の中心はESAが持ち込んだ端末からNASDAのロボット実験運用設備経由でETS-VIIへの指令が出せる様にすることであるが、NAL/CRLも何ケ月かかってやり遂げた作業でそう簡単にいくものでもない。(作業の様子
一方、筑波宇宙センタの桜も今日の陽気でかなり咲き始めて2〜3分咲きといったところ。(
また、筑波宇宙センタの第2展示室(昔の衛星試験棟)にETS-VIIの熱構造モデルが戻って展示されています。第2展示室の入り口から、ETS-VII、COMETS、ADEOSの順に並んでいます。(展示室


H11年1月〜3月の日誌

H10年10月〜12月の日誌

H10年9月以前の日誌