(98/07/01 更新)

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1.ロボット実験系初期点検結果

ロボット実験系の初期点検は平成10年3月より始まり、5月末までにほぼ一通りの機能確認を終了しました。残っている項目については実験と並行して6月以降に実施しています。これまでの点検の結果,ETS-VIIに搭載されたロボット実験系は予定された実験を遂行するに十分な機能性能を有していることが確認されました。
区分 内容 日程 結果
初期点検
(その1)
ロボットアームの関節の動作確認 3/2〜3 第1関節に30度の
offsetがあるものの
実験には支障なし。
(Pres release
初期点検
(その2)
ロボットアームの展開・収納動作の確認
(3/22〜26にアーム展開速度の調整実施)
3/17,18,20 良好
初期点検
(その3)
ロボットアームによる実験機器(GPF-S/GPF-N)の把持 4/20,22 良好
初期点検
(その4)
ロボットアームによる実験機器の固定解除
タスクボード用ツールの固定解除(5/18)
ターゲット衛星用ツールの固定解除(5/21)
軌道上交換ユニット(ORU)の固定解除(6/10, 17)
タスクボード上の機器の固定解除(6/16)

5/18
5/21
6/10, 17
6/16
良好
初期点検
(その5)
衛星姿勢とロボットアームの協調制御機能の点検
RWによる協調制御機能の確認(5/29)
RCSによる協調制御機能の確認(6/17,18)
5/29
6/17,18
良好

a) ロボット実験運用設備



ETS-VIIロボット実験運用の様子
(平成10年4月9日撮影)

ロボット、及びランデブドッキング実験運用設備はエンジニアリングワークステーション、及びコンピュータグラフィクスを多用した次世代の衛星運用システムのプロトタイプです。

b) 人工衛星上でのロボットアームの展開・収納
人工衛星上でロボットアームを動作させる場合、ロボットアームの動作による衛星の姿勢変動が無視できません。衛星の姿勢変動はロボットアームの動作速度(発生角運動量)に依存するため、衛星の姿勢変動が過大とならない様にロボットアームの展開・収納速度を関節毎に調節します。

左上:手先カメラ画像
右上:肩監視カメラ画像

ロボットアーム展開シーケンス
(4.5MBのAVI形式の動画ファイルです。電話でのダウンロードにはご注意下さい。

c) ロボットアームによる実験機器の把持

ロボットアームにより搭載実験機器を把持する機能の確認を 5月20日、22日に実施しました。

NASDAのロボットアームでNAL(航空宇宙技術研究所)のトラス構造物実験装置上のロンチロック解除用のグラプルフィクスチャ(把持用取っ手)を把持したところです。(98/05/22)
左上は肩監視カメラの映像です。後方の太陽電池パドルの向きからも判る様に、衛星時刻では夕方で、太陽が横から当たっています。太陽光直射による映像と、通常の地球アルベド光(太陽光が地球の大気層で乱反射した光)による照明との差異にご注意下さい。
右上はロボットアーム先端の手先カメラ画像です。マーカがカメラの中央に来ており、ロボットアーム/手先カメラ/グラプルフィクスチャ/マーカ間のミスアライメントが十分小さいことが判ります。
4月22日のトラス構造物実験装置把持時のロボット実験運用エリアの様子。ロボット系作業の山場の一つだったため、後方には大勢のギャラリーが。

d) ロボットアームによる実験機器の把持、固定解除

i) タスクボード操作用ツールの固定解除・取り出し(平成10年5月18日)

ETS−VII上には多数のロボット実験機器(タスクボード上の各種実験機器、及びこれらの機器を操作するためにロボットアームの先端に取り付けられる専用のツール(TBTL)、ターゲット衛星操作時にロボットアームの先端に取り付けられる専用ツール(TSTL))が搭載されています。これらの機器はETS−VIIの打上げ時にはロケットからの音響振動により外れたり壊れたりするのを防ぐため固く固定されています。従って、ロボット実験に先立ってこれらの機器の固定を解除する必要があります。5月18日にはこれらの機器の内、タスクボード操作用専用ツール(TBTL)をロボットアームにより把持し、ロボットアーム先端のソケットレンチを使用して固定解除すると共に、タスクボードから取り出せることを確認し、その後再度、同ツールをタスクボードに収納固定しました。他の実験機器の固定解除も今後、引き続き行っていきます。
TBTL把持前


ロボットアームがタスクボード上のタスクボード操作用ツールの把持に向かう所です。後方は郵政省通信総合研究所のアンテナ結合機構基礎実験装置、ロボットアームの後方の明るい部分は地球です。(左の映像の拡大はこちら
TBTL抜き取り

ロボットアームがタスクボード操作用専用ツールを把持してタスクボードから取り出しているころです。
ロボットアームの右側に付いているのは手先カメラです。
(左の映像の拡大はこちら

タスクボード操作用専用ツールの取り出しの様子のビデオはこちら(AVIファイル:2MB

ii) ターゲット衛星操作用ツールの取り出し(平成10年5月21日)

平成10年5月21日には、搭載ロボットアームを使用してターゲット衛星操作用ツールを同ツール収納機構より取り出すことに成功しました。同ツールはロボットアームの先端に取り付けられ、ターゲット衛星上のハンドルを把持するための大きな2本指を持っています。本ツールは使用されない時は同ツール収納部に収納され、本日の運用でも無事収納されました。 ビデオはこちら (3MBのAvi file)


 ターゲット衛星操作用ツールに   ロボットアームの先端にターゲット衛星
 ロボットアームが接近する様子   操作用ツールを取り付けて引き出す様子
                      (各機器の説明は上記図をクリックして下さい)

iii)軌道上交換ユニットの打ち上げ固定の解除(平成10年6月10日、および6月17日)

軌道上交換ユニット(ORU)の打ち上げ固定の解除は、ロボットアームでORU上のグラプルフィクスチャ(GPS)を把持し、さらにロボットアーム先端のソケットレンチを動作させ、ORU内部の固定機構を動作させ、固定を解除します。

(平成10年6月10日)
平成10年6月10日にORUの固定解除を試みましたがロボットアームでORUを把持した後にORUの固定を解除する際にソケットレンチの動作速度異常が検出されたため作業を中止しトラブルシュートを実施しました。その結果、動作速度異常は動作速度の一時的なオーバシュートにより生じたものでロボットアーム等の機器には異常がないこをが確認されました。(詳細は、異常事象のページを参照)

(平成10年6月17日)
前回のORU固定解除中断を踏まえ、修正した手順(ソケットレンチ駆動電流リミットを修正)でORUの固定解除を6月17日に実施しました。作業手順は第1パスでロボットアームをORUの上方に移動させ、第2パスでORUをロボットアームで把持すると共に、ソケットレンチを動作させ、ORU内部の固定機構を動作させORUの打ち上げ固定を解除し、ORUを上方に持ち上げました。(写真参照) その後第3パスでORUを元の位置に戻し、再度ソケットレンチを動作させ、ORU内部にある電気コネクタ、流体コネクタを結合すると共に、ORU本体をORU取り付けポートに固定しました。



ロボットアームにより把持され持ち上げられた軌道上交換ユニット(重量:約25kg)
ORU内部、およびORU取り付けポートにはそれぞれ燃料タンクが組み込まれ、両タンク間は流体コネクタで接続されており、推薬補給実験に使用されます。各機器の名称はこちら
 ORU固定解除の動画ビデオはこちら (Motion JPEG, 1MB)

iv)タスクボード上の実験機器の固定解除(98/06/16)

タスクボード上の実験機器(スライドハンドル,小型浮遊物)の打ち上げ固定の解除をロボットアームを用いて行いました。固定解除は,ロボットアームの先端にタスクボード操作用ツール(TBTL)を取り付け,TBTLと一体となっているペグを用いて,それぞれの機器の固定機構のラッチを解除することにより行われました。本日の作業は打ち上げ固定の解除の他に,ロボットアームによるスイッチ要素の操作実験を兼ねています。(98/06/16)

d) ロボットアームと衛星姿勢の協調制御機能の確認(平成10年5月29日)(平成10年6月17日)

(平成10年5月29日)
ETS-VIIは、衛星上でロボットアームが動作した時の動作反力を実時間で推定し、動作反力をキャンセルするための姿勢制御(フィードフォワード補償による姿勢安定)を行う機能を有しています。平成10年5月29日に、姿勢制御用アクチュエータとしてリアクションホイールを使用している場合の協調姿勢制御機能の確認を行い、同機能が正常に動作していることを確認しました。
また、本日の実験では、通信回線として低速度のバックアップ回線(無指向性オムニアンテナを使用)を使用した場合の実験運用の可能性を評価する運用を行い、オムニアンテナを使用する場合、通信容量、通信時間後れ、通信可能時間等において、各種の制約を受けるものの、ある程度の実験は実施可能であることを確認しました。
(平成10年6月17日)
ロボットアーム動作時の発生角運動量を姿勢制御系のフィードフォワード補償する協調姿勢制御機能の確認をガスジェットスラスタ、およびリアクションホイールを使用したそれぞれの姿勢制御モードについて行い、協調姿勢制御が有効に機能することを確認しました。
また、6月18日にはロボットアームを収納する際の衛星の姿勢制御をこれまでのスラスタフィードバックモードからスラスタ協調制御モードに変えることにより、これまで比較的大きな姿勢変動を生じていたロボットアーム収納作業においても衛星の姿勢変動を大きく現象させることが可能なことを確認しました。

続き(NASDAのロボット実験のページ)

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